静かな 静かな
シェルターはどんな場所なのか、スタッフはどんな風に動いているのか、
そうした場所に流れる時間を知りたくて
沖縄の老舗のシェルターに見学をお願いしていました。
ここは、沖縄の支援業界で仕事をし続けてきたホーム長と友人の朋子さんが働いている場所でもあります。
初夏のころ理事会の許可が降りたので、そちらのほうへいそいそと。
こうして考えると緊急案件も入るあわただしいはずの一日でしたが、
どっしりとした空気はなにひとつゆるがないというか。
ホーム長と話しているとそれだけで、ああ、そういうことだったのかと腑に落ちることが多くあり、私は調査のなかでおきていることや女の子たちに関する相談ごとも聞いてもらいました。
夕刻のころご飯づくりがはじまったので、エプロンをつけてキッチンに。
朋子さんから今夜のメニューは麻婆豆腐とうかがったので、
生姜をおろし葱を刻みひき肉を炒め、
つけあわせのモズクの酢の物の準備をしていると、
入所している女の子が隣にやってきます。
「あんまり辛くしないでね」
「ふふふ。豆板醤は少なめにするね」
「ごはんはなにが好きなの?」
「あのね」
言葉をかわしながらそうこうしているうちにごはんの時間になって、
みんなでごはんを食べました。
朋子さんはどんどん子どもたちと話していて、子どもたちもどんどん話します。
ホーム長はにっこり笑いながら自分の考えも話しています。
台所で出た清潔な生ごみはその日のうちにすべてコンポストに、
新聞、包装紙、紙はすべて再利用されるとのこと。
(なんとホーム長のご自宅は、マキでお風呂をたくそうです!)
部屋はどこもかしこも磨き上げられていて、
私はすっかり癒されてごはんを食べながらぼんやりします。
ここはちょうど頭のなかにある「実家」だなぁ、と。
清潔な畳の上でねっころがっていると美味しいご飯がでてきて、
暖かくほったらかしにされて、
話したいことがあると聞いてもらって、
黙っていてもおしゃべりしていても、あなたが大事だよというメッセージがあちらこちらにあふれている。
本家本元の実家が持ってしまう、
一緒にごはんを食べるひととひとがいやおうなく結びついていく場所が持つ重さ、
それがきちんと浄化されているような、
人と人との距離が保たれた安全な場所のイメージがそこにはどっしりありました。
場所を離れてからもあのときの暖かいかんじは残っています。
にぎやかな声があったはずなのにざわめきがどこかに吸収されるような。
〔上間〕
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